此花区西九条に土地と倉庫を所有し、塗料倉庫として賃貸していたKさんは、1997年大阪市から、隣にある此花会館を此花総合センタービルに建て替えるために、他所に移って欲しいと懸命に頼まれ、断り続けていたものの、市政への協力と考え、西淀川区千舟の大阪市の所有地に倉庫を建てさせて、交換約束で借主ごと移転しました。
大阪市は千舟の土地・倉庫を1年ごとに行政財産目的外使用許可という形でKさんに使用させ、交換契約に向け千舟の土地の分筆、地積更正、西九条の土地の測量、境界明示、両土地が財産条例で交換できる価格範囲かを見極める鑑定などを実施していきました。
ところが、2011年市長が代わり、担当者がその激しい市政運営を忖度したのか、大阪市はKさんに千舟の賃料を支払えと言い出し、また1年ごとの使用許可も出ししぶるようになり、ついに2013年度の使用許可を拒否し、此花へ帰れと言い出しました。しかし此花の土地建物は、センタービルが建って車の通行も自由にはできなくなり、帰ることなどできないことは明らかですから、大阪市の方針は大阪市に協力して移転したKさんの財産を奪ってしまう不法行為です。
Kさんは弁護士を頼み、2014年に大阪市を被告として行政財産目的外使用不許可の取消訴訟を起こしましたが、いまひとつうまく進まないので、当事務所に来られました。
斎藤浩弁護士は、取消訴訟に加えて、使用許可の義務付け訴訟、交換契約する地位にあることの確認訴訟を追加し、たたかいました。Kさん側では太田勝義元市会議長が証人に出て、事実を証言してくださいました。
大阪地裁は、いくつかの請求のうち、Kさんに最も有利な交換契約の和解を強力にすすめ、成立させました。Kさんは晴れて、千舟の土地建物の所有権を、使えない西九条の土地建物と交換で得ることができました。
行政が無責任な対応に出た時は、敢然と行政訴訟に訴えることが重要です。