弁護士法人FAS淀屋橋総合法律事務所

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斎藤ともよ「ほがらか相談所」


弁護士斎藤ともよが東京朝日新聞で連載していた「ほがらか相談所」をまとめました。(2005.9.13~2006.9.28)





  • ◆製品の責任、企業が取るのはどんな時?(2006年9月28日東京朝刊)

  • ◆亡夫の遺産、再婚でどうなる?(2006年7月27日東京朝刊)

  • ◆遺言書、どのように書けばいい?(2006年6月22日東京朝刊)

  • ◆相続したくない田舎の土地、どうすれば(2006年5月18日東京朝刊)

  • ◆心当たりない請求、差出人は裁判所?(2006年4月13日東京朝刊)

  • ◆熟年夫婦の自宅共有化(2006年2月28日夕刊)

  • ◆マンションの眺望(2006年1月24日夕刊)

  • ◆後見人の不動産処分について(2005年12月13日夕刊)

  • ◆独居の母の財産を守るには?(2005年11月8日夕刊

  • ◆長男夫婦離婚したら孫に会える?(2005年10月18日夕刊)

  • ◆嘱託社員、残業拒める?(2005年9月13日夕刊)


  • ●製品の責任、企業が取るのはどんな時?(2006年9月28日東京朝刊)

    【質問】 先日、電磁調理器を使っていると、油から火が出て、鍋が焦げました。メーカーに問い合わせると、「機器に合わない鍋を使ったのが原因ではないか。説明書にも書いてある」と言われました。が、私は読んでいませんでした。どういった時に、企業は責任をとってくれるのでしょうか。(50代、女性)


    ○欠陥、「通常の使用」で判断

    【回答】  95年に導入された製造物責任法(PL法)では、製品の欠陥さえ立証できれば、メーカー側の過失の有無に関係なく賠償責任が認められます。
    実際に、冷凍庫やテレビについて、メーカー側の責任を認める一審判決が出ています。テレビからの出火による損害賠償を認めた大阪地裁判決は、「通常の使用によって事故が生じたこと、及び商品の通常有すべき安全性が欠けていたこと」を立証すればよい、としました。今回、機器にあわない鍋を使ったのが原因であれば、「通常の使用」とはいえず、賠償は受けられません。しかし、説明書の注意書きが十分でない場合などは、「通常の使用」とは何かが問題となり、賠償を受けられる可能性が全くないわけではありません。
    ガス湯沸かし器や石油暖房機による中毒など、製品の欠陥が原因の事故が相次いで明らかになっています。身の回りの機器にも危険が潜んでいます。何か起きた場合は、日時や場所、状況を記録し、焦げた鍋などの証拠を保存しましょう。賠償が受けられないとしても、事故状況を連絡することで事例が集積され、次の大きな事故を防ぐことになるかもしれません。
    詳しくは、消費生活センター、もしくは弁護士に相談してみてください。



    ◆亡夫の遺産、再婚でどうなる?(2006年7月27日東京朝刊)


    【質問】 近く再婚します。一人息子も賛成してくれていますが、3年前に亡くなった夫の遺産がどうなるのか気にしている様子です。私は、夫が遺(のこ)した土地と家は、将来的に息子に受け継いでほしいと考えています。再婚すれば、相手の子どもにも私の遺産が相続されるのでしょうか。(50代、女性)

    ○まずは現在の名義を確認

    【回答】 夫の遺産である土地や建物の名義がどうなっているのか、がポイントになります。
    妻であるあなたの名義になっているのでしたら、それはあなた固有の財産であり、あなたの意思が最優先されます。「一人息子に相続させたい」という意思があるのなら、遺言を書いたり、息子への名義変更手続きを取ったりすればよいでしょう。遺言の場合は、その後あなたの気持ちや事情が変われば、変更することもできます。
    息子へと遺言をしても、あなたが亡くなれば、遺産の4分の1は法律で決められた「遺留分」として再婚相手の方が相続します。しかし、あなた名義のまま遺言を書かないなら、遺産は再婚相手と息子さんが半分ずつに分けることになります。この時、再婚相手の方に子どもがいたとしても、あなたとの間で養子縁組をしない限り、相続人にはなりません。
    土地や建物を夫の名義のままで変更していないなら、今の段階で、あなたとの共有名義もしくは息子さん名義に変える方法があります。こうすれば、息子さんの名義分については、あなたが亡くなった後も遺産の範囲に含まれませんので、心配はいりません。
    いずれにせよ、まずは遺産の名義をしっかり確認し、話し合って下さい。




    ◆遺言書、どのように書けばいい?(2006年6月22日東京朝刊)



    【質問】 遺産をめぐる骨肉の争いを見聞きするたび、早めに遺言書を…と考えます。ただ、家以外にたいした財産もなく、今ある預貯金も老後の暮らしで減るでしょう。今の段階では、どういったことを書いておけばよいのでしょうか。(50代、男性)


    ○何度でも変更OK、今の思いを

    【回答】 遺産問題で争いになるのは、やはり遺言がないケースが圧倒的に多いといえます。いったんこじれると親族同士の激しい対立につながることも。とりあえず現在の自分の思いをもとに遺言書を書いてみてください。
    まずは、土地や家、株などの有価証券、預貯金など、いま手元にある財産を書き出してみましょう。あなたの死後、「もっと預貯金が残っていたはずだ」といった争いになるのを避けるため、遺産の範囲を定めることは重要です。
    次に、「家は○○に」「預貯金は兄弟で半々に」など、自分の意思がはっきりしている部分を示しましょう。現金など最終的な残高がわからなくても、割合を示しておけば、意思が反映される可能性が高くなります。この時、その理由や思いも書き込んでください。「ずっと面倒を見てくれたから」といった理由があれば、相続人も納得しやすくなるからです。
    遺言書は、日付が最も新しいものが有効となるため、何度も書き直せます。いま現在の思いを書き残し、財産内容など事情が変わった場合は、そのつど書き直せばOK。ただし、日付、本人の署名、印鑑など一定の要式を満たさなくてはならないので、書き方は、市販の書籍などを参考にしてください。複雑な内容を盛り込みたい場合は、弁護士などに相談するのが確実です。

    ◆相続したくない田舎の土地、どうすれば(2006年5月18日東京朝刊)


    【質問】 田舎で一人で暮らす姉が病気になり、自宅の土地と建物について「後はよろしく」と言われました。姉は独身で他に兄弟もいません。私は今後も田舎に帰る予定はなく、土地を相続しても困ります。どうしたらよいでしょうか。(70代、女性)

    ○近所の方への寄贈、検討しては


    【回答】  お姉様の土地と建物は、あなたが相続することになります。ただ、別の土地で暮らすあなたにとって、田舎の土地や建物の管理は難しく、相続したくないというお気持ちもわかります。
    こうしたケースの相談は増えています。築年数がたっている家には、残念ながらほとんど値が付かない。土地もたいした金額にはならない。自分の死後、配偶者や子どもに面倒をかけたくないので、自分の代のうちに何とかうまく決着をつけたい、という内容です。 将来、お姉様が亡くなられれば、その時から3カ月以内に家庭裁判所に「相続放棄」を申し立てると、あなたは相続せずに済みます。他に相続人がいなければ、土地と建物は国の財産になります。
    それより、お姉様がお世話になった近所の方に差し上げることを検討してみてはどうでしょう。田舎を離れた人には“お荷物”でも、地元で暮らす人には有益な場合も多いのです。実際、近所に住む人が、敷地を広げられるのでありがたいと遺(のこ)された土地を受け取ったケースもありました。この場合、いったんあなたが相続してしまうと、税金などを含め手続きが煩雑になります。お姉様と相談のうえ、事前に遺言書を用意するのが得策です。その際は、受け取られる方もまじえて、贈与税についてもきちんと話し合っておきましょう。

    ◆心当たりない請求、差出人は裁判所?(2006年4月13日東京朝刊)



    【質問】 簡易裁判所から、インターネットのサイト利用料40万円の支払いを運営業者が求めているという「支払督促」が自宅に届きました。全く心当たりがなく、友人は「無視したらいい」といいますが、不安です。本当に大丈夫でしょうか。(40代、男性)

    ○本物なら対抗手段を早く

    【回答】 覚えのない請求は無視するのが一番。確かにその通りです。ただ、「裁判所」からの「支払督促」や「訴状」などの場合は、注意が必要。本物なら、放っておくと財産を差し押さえられる危険もあります。
    まずは、本物かどうかを見分けましょう。裁判所からの郵便は、「特別送達」と書かれた裁判所の名前入りの封書で送られてきます。ポストに入っていたはがきや普通郵便なら、偽物なので無視してかまいません。次に裁判所に問い合わせ、事件番号などを確認します。この時、郵便に書いてある裁判所の電話番号が正しいものか、電話帳などでしっかり確認しましょう。うかつに電話をすると、悪質な業者につながって番号を記録されるおそれがあります。
    「支払督促」は、2週間以内に異議申し立てをしなければなりません。これは、同封の申立書に記入して、簡裁に送り返せばOK。「訴状」の場合も、何もせず欠席すれば1回の審理で判決が出ます。裁判の延期を申し立てたり、同封の答弁書にこちらの言い分を書いて送ったりすることが必要です。いずれも、無視すれば、業者の言うがままに判決などが確定し、財産差し押さえなどを受けるおそれがあります。まずは近くの弁護士会や消費生活センターに相談してみてください。

    ◆熟年夫婦の自宅共有化(2006年2月28日夕刊)


    【質問】 結婚から30年以上が過ぎ、子どもたちは独立し、会社員の夫もこの春に定年を迎えます。これを機に、長年暮らした自宅の半分を私の名義にしようかと、夫と話し合っています。法的なメリットとデメリットを教えてください。(50代・女性)

    ○2110万円まで贈与税なし 負債を引き継ぐ結果にも

    【回答】 長年ともに暮らした夫婦が自宅の土地や建物を共有化することには、税法上も優遇措置が設けられています。2人が協力して形成した財産を実態に見合うようにすること、どちらかが先に死亡した場合に備えることなどが主眼です。
    相続税法は、結婚20年以上になる夫婦のどちらかが相手に居住用の不動産を贈与する場合、2千万円までを課税対象から控除できると定めています。これとは別に、租税特別措置法の改正により、01年1月以降の不動産取得に対しては110万円の控除が認められました。したがって、自宅不動産を夫婦間で贈与する場合、合計2110万円までならば、贈与税は課税されません。課税対象額が1千万円を超えると贈与税の税率は5割になるので、控除は大きなメリットと言えるでしょう。
    ただし、「20年」の算定は「婚姻届を出した日」が起点で、内縁関係は対象となりません。また、控除が認められる財産は「居住用の不動産」か、それを取得するための金銭に限定されます。さらに、贈与を受けた者がその不動産に住み続けることが条件です。適用を受けるには、贈与税の確定申告をする必要があります。
    暮らしてきた家に愛着があるのならば、名義を持つことに大きな意味があるでしょう。ただし、ローンが残っていたり離婚を考えていたりする場合には、負債や処分できない財産を引き継ぐ結果になることもあるので、慎重に考える必要があります。

    ◆マンションの眺望(2006年1月24日夕刊)


    【質問】 都心部に建設されるマンションの購入を決めました。チラシにもうたう眺望のよさに惹(ひ)かれ、価格の1割の手付金に、追加の内装費用も支払いました。しかし、本契約の直前、隣接地に別のマンション建設計画がすでにあり、やがて部屋からの眺望も損なわれると知りました。説明会が開かれましたが、納得できません。本契約を拒否した場合、手付金は戻るのでしょうか。(50代、男)

    ○チラシなど資料の保管を 説明内容は文書化求めて

    【回答】 「都心回帰」のマンションブームのためか、集合住宅の眺望などの相談が目立ってきました。
    マンションを売る側は、契約までに物件の主要条件を記した「重要事項説明書」の提示が義務づけられています。日照はこれに含まれるので、実態と隔たりがあれば「説明義務違反」で手付金などの返還を請求できますが、眺望は難しい部分が多いようです。
    チラシなどの資料は必ず保管しましょう。周辺の今後の開発計画の有無も含め、先方が説明した内容はその都度、文書化を求めるべきです。また、建設予定地周辺を歩いてみることをお勧めします。人によっては窓から見えることが嫌な施設が、近くにある場合もあります。
    本契約を拒否すれば、手付金は戻らないのが通例です。しかし、説明の文書を保管していれば、実態がそれと異なることの証拠となり、手付金の返還請求ができますし、内装費用の負担も拒否できる余地があります。本契約後でも主張の根拠となる文書があれば、価格の減額を求める根拠になります。
    眺望権をめぐる過去の訴訟の多くは、良好な景観を売りにした旅館や飲食店などを営む人々が財産権を主張するものでした。しかし、一般住人の眺望は判例も確定しているとはいえず、今後トラブルの増加が懸念されます。



    ◆後見人の不動産処分について(2005年12月13日夕刊)


    【質問】 半年前に母が亡くなり、父が「自分に認知症の症状が出始めたら、自宅を処分して介護付きの施設に入りたい」と言い出しました。この欄で成年後見制度のことが取り上げられていましたが、長男の私が後見人になった場合、父所有の家を私の判断で処分しなければならないのでしょうか?(50代男性)


    ○家裁の許可得る必要 適さぬ事由で解任も


    【回答】 奥様を亡くし、今後の身の処し方を決めておこうというお父様の考えは、ごもっともと思います。一方で、判断を託される方が困惑するのも、無理のないことかもしれません。
    しかし、あなたが後見人になった場合でも、お父様の財産すべてを一存で処分できるわけではありません。
    後見人には、選任された当初に、被後見人(この場合はお父様)の財産目録を作って家庭裁判所に提出する義務があります。また、被後見人が居住する不動産を売却したり、賃貸借契約を締結・解除したりする場合などには、家裁の許可を得なければならないと民法859条の3に定められています。
    そして、許可を求める申し立てがあると、家裁は、被後見人の意向が反映されているのかどうか、不動産を処分する理由が妥当か否かなどについて、調査官に事実を調べさせたうえ、許可すべきかどうかを判断します。また、家裁は任務に適さない事由が後見人にあれば解任することができます。
    以上のように、被後見人の不動産の処分にあたっては、あなた以外の家族や親類にも納得がいくよう制度が作られていると思いますが、いかがでしょうか。これらの仕組みが一般の方々にまだ十分に浸透しているとはいえない点が、むしろ問題なのかもしれません。



    ◆独居の母の財産を守るには?(2005年11月8日夕刊


    【質問】 母が、田舎で一人暮らしをしています。「一緒に暮らそう」と持ちかけるのですが、長年暮らした家を離れる気はないようです。最近、認知症の症状が出始めました。高齢者を狙った悪徳リフォーム業者の被害が増えていると聞き、心配です。親族が財産を管理できる「成年後見」の制度について教えてください。(50代・女性)


    ○後見人が売買契約を管理 判断力鑑定に3カ月程度


    【回答】 民法などの改正で00年4月、「成年後見制度」が発足しました。それまでは「禁治産者」という名称で印象が悪く、宣告を受けると戸籍に記載されることもあって利用は低調でしたが、高齢化社会を迎え、利用しやすい形に改善されました。
    認知症などで判断能力が失われた人や能力に心配がある人について、本人のほか配偶者や4親等以内の親族らが、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てることができます。後見人に選ばれた人は被後見人の財産を管理し、小規模な日用品の購入を除いて売買契約なども取り消せます。仮に本人が後見人への断りなしに自宅改修契約を交わしたとしても、後見人はそれを法的に無効にできます。
    後見人は複数の人がなれますので、身の回りの世話と財産管理など、役割分担をすることも可能です。
    手続きにかかる費用は多く見積もって十数万円で、このうち当人の判断力の鑑定費用が大きな割合を占めます。鑑定には半年ほどかかる例が多かったのですが、最近は3カ月前後のようです。
    本人にある程度の判断力がある場合は、「保佐」「補助」の制度もあります。保佐を受ける人は、借金、不動産売買、贈与、相続、増改築など9項目の行為に保佐人の同意が必要となります。補助の場合は、前記の9項目のうちいくつかを選び、その行為をする場合に補助人の同意を求められます。



    ◆長男夫婦離婚したら孫に会える?(2005年10月18日夕刊)


    【質問】 共働きの長男夫婦に同居し、孫の育児を引き受けてきました。ところが、長男夫婦の仲が冷え込んでいます。大人なのだから互いの話し合いで解決することでしょうが、同世代の方々はどんな対応をしているのだろうかと、ふと思います。なにより孫が不憫(ふびん)です。もし離婚したら、私たち夫婦が、定期的に孫に会うことはできるのでしょうか?(60代・女性)


    ○祖父母に法的根拠なし 長期養育すればOKも


    【回答】 昨年1年間に離婚した夫婦は26万4千組。20~30歳代を中心に相談は増える一方ですが、約半数は、妻か夫の親が同伴しているのが近年の傾向です。親は、50~60歳代が中心。「こんなことにまで付き合うのは、どうなんだろう」と、自問自答している方が目立つようです。
    ストレスが多い世相を反映してか、うつなど「心の病」が引き金となる事例も増えています。こんな場合、精神科の医師と連携しながら対応しますが、一方だけでは対処できない相談の増加に、現代の社会の複雑さを感じます。
    熟年世代が気にしながら切り出せない質問の一つは、孫に関するもの。離婚後も子どもに会えることを保証する「面接交渉権」は、親に対して。民法に規定はないので、家庭裁判所が判断しますが、祖父母に面接交渉の法的根拠を見つけるのは困難です。孫が長期間、祖父母宅に置き去りにされていた場合などは、面接交渉を認める文書を作ってから孫を親もとに返すべきです。一定の間、祖父母だけで孫を養育した場合では、東京高裁が77年に面接交渉を認める判決を出しています。
    母親が親権を持つことが多いのですが、その場合も、父親が比較的自由に子どもと会える状況なら問題は少ないでしょう。しかし、そうでない場合、孫の顔を見られる機会は格段に少なくなると覚悟した方がよいようです。



    ◆嘱託社員、残業拒める?(2005年9月13日夕刊)


    【質問】 選択定年の道を選び、再就職しました。残業で自分の時間がない暮らしに嫌気がさしたためでした。新しい会社では嘱託社員。給料は下がっても「定時で帰れる」はずだったのですが、残業を求められます。渋々従うより、会社に改善を求めたいのですが、有効な手段はないでしょうか。(56歳、男性)


    ○契約時の書面まず調べる 紛争調整委のあっせんも

    【回答】 「とことん我慢する」から「とことん戦う」までの間で、多様な選択肢のどれを選ぶか。その人の人生観によるので回答は難しいのですが、まず調べるべきことを挙げてみます。
    契約時に示された書面に、残業がどう位置づけられているでしょうか。
    特に嘱託社員などの場合、明確な規定がない場合も多いようです。
    次に、会社の就業規則にどう記されていますか。
    労働組合がある企業なら、残業について組合と協定を結んでいるでしょうか。労働基準法36条の規定で、「サブロク協定」といいます。組合がない場合は本来、従業員の過半数を代表するものと書面で協定を交わす必要があります。
    協定がないか、逸脱した要求であれば、残業を拒否できます。正社員時代と違い、はっきりとした態度を取りたいのであれば、01年10月にできた「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」によって「紛争調整委員会」のあっせんを申し立てられます。都道府県の労働局が無料で相談を受け、学識経験者などからなる「紛争調整委員会」が、労使間のあっせんをします。
    訴訟の判決のような強い強制力はありませんが、時間や費用は少なく済みます。いずれにせよ、まず最寄りの弁護士会や自治体の法律相談へお越しください。



    ★ニュースファイルもくじ
    ◎マスコミ報道、コメント
    ◎意義ある裁判提訴、成果
    ◎国会公述、講演
    ◎著書への評価