◎弁護士 斎藤 ともよ(さいとう・ともよ)
●経歴・現職●
京都大学卒 大阪弁護士会所属
元大阪弁護士会副会長
元大阪簡裁調停委員
●得意分野●
医療過誤事件
離婚事件
遺言・相続事件
高齢者・障がい者の成年後見等の財産管理
複雑な交通事故訴訟
証券取引・先物取引などの被害や、各種の詐欺商法などの消費者問題
国際人権問題
●これまでに手がけたおもな事件●
①【医療事故】
・40歳の男性がもやもや病の血行再建術を受けた後、右半身麻痺・失語症などの後遺症が残存した事例について、病院に対して、術中の血圧について術前の血圧状態より低くならないように配慮すべき血圧管理上の注意義務に違反したとし、損害との因果関係も認めて、高裁が一審判決を変更して損害賠償請求を認めた事例
・精神科病院入院中の50代男性にNGチューブが挿入され、その翌日に誤嚥性肺炎を発症したが、病院が抗菌薬の投与をしたのみで、誤嚥性肺炎の原因となるNGチューブを抜去せずに栄養・薬剤をNGチューブから投与し続けた結果、誤嚥性肺炎を増悪させて肺水腫に至らせ、よって発症の翌日に死亡させた事例(裁判上の和解)
・MICS(低侵襲心臓手術)の術後管理不十分により、術後の患者の急変に病院が適切に対応できず、患者が死亡した事例(示談成立)
・硬膜外麻酔のためのカテーテルの挿入時の過失によって骨髄空洞症を発症させ、よって、患者が後遺障害を負った事例(示談成立)
・認知症治療のため精神病院に入院した患者に対し医師がNGチューブを適切に挿入せず胃内に到達させなかった結果、誤嚥性肺炎を発症し、誤嚥性肺炎に対する適切な治療も実施しなかった注意義務違反によりARDSに至り死亡したことについて病院の責任が認められた事例(大阪地裁令和3年2月17日判決)
・糖尿病患者が整形外科手術後の入院中の夜中に発症した低血糖性意識障害を当直医が過失により見逃し、適切な処置を行わなかった結果、患者が遷延性意識障害に至った事案(示談成立)
・てんかんの脳外科手術において手術手技の過失により重篤な後遺障害が生じた事例(示談成立)
・入院中の高齢患者の低栄養状態が医師及び看護師の過失により見逃され、その結果当該患者が死亡した事例(示談成立)
・精神病院入院後に投薬された精神病薬の副作用により患者が自死した事例(裁判上の和解成立)
・精神病院に入院中に誤嚥性肺炎を発症し、適切な治療がなされないまま死亡した事例(示談成立)
・妊娠を見逃されて卵管造影検査を実施され胎児が被曝した件についての損害賠償請求事件(裁判上の和解成立)
・医院で出産時に、胎盤癒着が認められた産婦に対して、医師が不適切な用手剥離を行った過失により、大量出血を来たし、下垂体前葉機能不全(シーハン症候群)になったとして、損害賠償を認めた(一審判決確定)。
・心臓バイパス手術で動脈と静脈につなぐべきところ、静脈につないだ事例(提訴後和解成立のため取下げた)
・腹痛で救急搬送された先で、カテーテル挿入の際に頸動脈を傷つけ、それによって生じた血栓により気道が閉塞、低酸素脳症となり、後に死亡した事例(ADR(裁判外紛争解決手続)にて和解成立)
・心肺停止で救急搬送されるも、除細動器(AED)が作動せず死亡したことについて、除細動器の不具合によるものか、心臓の異常によるものかを争った事例(示談成立)
・レントゲン画像の読影ミスにより肺がんを肺炎と誤診したため、肺がんに対する治療がおくれ、後に死亡した事例(裁判上の和解成立)
・アルコール性肝硬変に罹患し、肝癌発生の超高危険群患者であることを知りつつ、肝癌早期発見のための適切・相当な検査を怠り、事実上治療不能な状態になるまで発見できなかったため死亡した事例(裁判上の和解成立)
・美容整形手術の失敗により、しわ、たるみが残った事例(示談成立)
・胆のう摘出の開腹術を受けた際、血管を誤って傷つけ、止血のため再手術をしたが、1週間後に肝不全で死亡した事例
・帝王切開後、適切な術後管理がなされず大出血を起こし、母体にシーハン症候群の後遺症が残った事例
・肺炎に罹患して小児が死亡したことについて、抗菌薬の選択、酸素療法、気管挿管の手技等を争った事例
・乳ガン切除手術時の説明義務をめぐる上告審事件
・上腕腫瘍切除時の技術ミスと説明に関する勝訴事件
・薬剤性劇症肝炎死亡
・出産時の児の肩甲難産や、母子の死亡などの医療過誤訴訟事件
②【保育事故】
・認可外保育施設(高槻市にある認定保育施設)にて、1歳3か月の幼児が、午睡中にうつぶせ寝で死亡した保育事故事件(裁判で和解)
・4か月児死亡 1審敗訴、控訴審で勝訴(ラッコランド京橋園事件)
③【先物取引】
・30代男性が「商品デリバティブ取引契約」で多額の損害が発生したとして、発生した「損害金」を請求された事案について、先物取引協会に対して紛争仲介の申し出を行って、振り込んだ金を返還する和解が成立した。
④【その他の事件】
・父親が乳児に揺さぶられっこ症候群(SBS)による脳障害を負わせたとして、被害乳児から損害賠償を請求された事例(請求棄却)(詳細を読む)
・農地と宅地の間の境界確定訴訟
・公正証書遺言作成後に、死因贈与契約書、自筆証書遺言が作成された事例で、自筆の遺言書の偽造が認められた判決
・塩野義製薬女性賃金差別事件、ほか、女性少年室への援助
・調停申立など女性差別を是正させる申立事件
・東住吉えん罪事件(再審無罪判決)
●著書●
共著書「医療判例ガイド」(有斐閣 96年)
訳共著「プライバシーの権利」(教育史料出版会 94年)
●弁護士からひとこと●
複雑な訴訟事件を勝訴的に裁判や和解で解決することも大変重要ですが、できれば争いが大きくならない「芽」のうちに、裁判になった場合の得失を正確に判断して予防することもさらに意味があると考えています。
そして、それにあたっては裁判所以外のさまざまな機関を利用していくこと、それらの機関の充実に力を入れています。
たとえば大阪弁護士会の高齢者・障害者支援センター「ひまわり」は、個々の弁護士では到底手が回りきらないような、痴呆高齢者の権利を守るためのシステムです。
従来からの遺言、遺産分割だけでなく、高齢者、障害者が財産管理についての争いを予防し、安心して老後を遅れるような手だてを元気なうちに講じていくため、当事務所は「ひまわり」と連携しています。