※以下の議事録は、参議院のホームページからダウンロードし、斎藤浩がしゃべっている部分のみを抽出しております。
第159回国会 法務委員会 第21号
平成十六年六月一日(火曜日)午前十時開会
委員の異動
五月二十八日
辞任 補欠選任
平田 健二君 樋口 俊一君
六月一日
辞任 補欠選任
樋口 俊一君 岩本 司君
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出席者は左のとおり。
委員長 山本 保君
理 事
松村 龍二君
吉田 博美君
角田 義一君
木庭健太郎君
委 員
青木 幹雄君
岩井 國臣君
鴻池 祥肇君
陣内 孝雄君
野間 赳君
今泉 昭君
岩本 司君
江田 五月君
千葉 景子君
堀 利和君
井上 哲士君
国務大臣
法務大臣 野沢 太三君
副大臣
法務副大臣 実川 幸夫君
大臣政務官
法務大臣政務官 中野 清君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局民事局長
兼最高裁判所事
務総局行政局長 園尾 隆司君
事務局側
常任委員会専門
員 加藤 一宇君
政府参考人
司法制度改革推
進本部事務局長 山崎 潮君
総務大臣官房審
議官 田中 順一君
総務省政策統括
官 藤井 昭夫君
法務大臣官房訟
務総括審議官 都築 弘君
法務大臣官房司
法法制部長 寺田 逸郎君
法務省民事局長 房村 精一君
参考人
元最高裁判所判
事 園部 逸夫君
日本弁護士連合
会行政訴訟改革
等検討委員会統
括副委員長 斎藤 浩君
弁護士 菊池 信男君
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本日の会議に付した案件
○行政事件訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
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○委員長(山本保君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る五月二十八日、平田健二君が委員を辞任され、その補欠として樋口俊一君が選任されました。
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○委員長(山本保君) 行政事件訴訟法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、三名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、元最高裁判所判事園部逸夫君、日本弁護士連合会行政訴訟改革等検討委員会統括副委員長斎藤浩君及び弁護士菊池信男君でございます。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。
参考人の皆様から忌憚のない御意見をお聞きいたしまして、今後の審査の参考にしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
議事の進め方でございます。まず、園部参考人、斎藤参考人、菊池参考人の順に、お一人二十分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答えいただきます。
なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、委員長の、私の許可を得ることとなっておりますので、よろしくお願いします。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。
なお、参考人の方の意見陳述及び答弁とも、着席のままで結構でございます。
それでは、園部参考人からお願いいたします。園部参考人。
○ 参考人(園部逸夫君) このたび、参議院法務委員会に参考人としてお招
途中省略
○ 委員長(山本保君) ありがとうございました。
○ 次に、斎藤参考人にお願いいたします。斎藤参考人。
○参考人(斎藤浩君) 当委員会にお招きいただきましてありがとうございます。斎藤でございます。
私は、今述べられました園部先生が助教授でおられたころの若々しい時代に大学で、行政法を同じ大学でかじりましてから、比較的大きな自治体に就職をいたしまして数年間末端の行政運営に触れました後、三十年弁護士をしております。その間、行政事件に細長くタッチしてまいりました。
他方、この十年ほど、司法改革を提唱いたしまして、法曹人口の大幅増員、日本型ロースクールの設立、裁判官制度改革、弁護士制度改革、行政訴訟改革の五つの分野で、日弁連の中ではそれぞれの課題に消極的な会員諸君と論争し、それらの課題の前進に微力を注いでまいりました。
平成十一年の国会で司法制度改革審議会設置法が制定され、政府の下に同審議会が設置されるや、平成十三年まで日弁連要員として六十三回の審議会のすべてを傍聴いたしました。この間、審議会の海外調査時には、日弁連の法曹養成制度に関するアメリカ・カナダ調査団の団長として、ハーバード・ロースクールを始め両国のロースクールを調査いたしました。
また、平成十三年の国会で司法制度改革推進法が制定され、政府の下に司法制度改革推進本部が設置され、行政訴訟検討会が開始されるや、やはり日弁連要員としてこれまで二十七回の検討会のすべてを傍聴いたしました。
このような立場から、私は、司法制度改革審議会意見書が政府と国民、そして法曹三者に課した課題の中に、今回の行政事件訴訟法の一部を改正する法律案を位置付け直し、この立法への賛意を表明し、その意義を考察するとともに、この分野の残された課題について意見を申し述べてみたいと存じます。
さて、司法制度改革審議会意見書の司法の行政に対するチェック機能の強化の部分で重要なくだりは、当院の法務委員会調査室発行のこのピンクの表紙の参考資料、非常に便利なものでありますが、二十九ページ、三十ページに要約掲載されておりますので、是非改めてお読みいただきたいと思いますが、意見書のこれらの指摘に対比いたしまして、今回の改正法案がどこまでこれを達成しているのか、残された課題はこれを読めば何かはおのずと明らかになると思うものであります。残された課題につき、行政訴訟検討会での残期間でできる限り具体化していただくこと、そして、その後には国会におかれて、政府のできるだけ高いレベルの機関を新設又は選定していただき早急なる検討をお願いし、立法化していただきたいと存じます。
さて、今回の改正案についてでありますが、既に審議が進んでおられますし、本日の午後も政府委員との間で質疑が掘り下げられるものと考えます。そこで、私は、改正法についての横断的な意見はやめさせていただき、これを縦断的に評価してみたいと思うものであります。現行法下の幾つかの事例を取り上げて、司法の行政チェックが不十分になった状況を分析し、改正法がその是正に役に立つであろうとの意見も申し述べてみたいと存じます。
現行の行政事件訴訟法の裁判所の解釈は、余りにも厳密かつ細かい理屈に終始し、国民と行政の位置関係から見ますと、訴えを起こす国民がその厳密かつ細かい議論を突破しないと救済をしないということになり、結果として行政寄りに終始し、国民の立場を忘れたものになっていたものと考えます。この結果を見るに見かねて、前述の司法制度改革審議会の意見書の当該部分は多くを指摘したのであります。その指摘のうちの、今次改正法は必要最小限度の改正と言えるでありましょう。しかし、優れた裁判官たちは、法制定の直後からそのような状態ではありませんでしたし、彼らによると、今次の改正が不要であるかのような柔軟な解釈もしていたのであります。
今次の改正で四条の当事者訴訟に「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の」という追加はなぜ行われるかということを例に考えてみたいと存じます。
今次改正法は、司法制度改革審議会の意見書が求める行政処分概念を再検討することには到達しておりませんので、現在の判例を前提とすると行政立法や行政計画そのものを正面から争うことはなお原則としてできませんが、それから出てくる法律関係に引き直してこの当事者訴訟で争えることを条文上明確にしようというのが今次改正の一つの重要な点であります。
現行法の立法過程でも、通達や告示などの行政立法などを直接対象とする法規範統制訴訟の導入は検討されました。しかし、明確には法定されなかったので、裁判所の解釈にゆだねられたのであります。
この要請に積極的にこたえた見事な判決が初期には出ております。例えば受刑者の丸刈り差止め事件、東京地裁昭和三十八年七月二十九日判決であります。
この事件は、現行法が施行された昭和三十七年十月一日の直後である十二月十日に提訴され、この判決が被告を府中刑務所長とする強制剪剃差止めの無名抗告訴訟の適法性を認めたことはつとに有名でありますが、確認訴訟にも言及しているところが重要です。監獄法三十六条、同法施行規則百三条に基づく剪剃実施の差止め請求ですから、事実上、行政立法を直接争うという論点になります。
判決は次のように言っています。「前記諸条件の下で、行政行為の実行が許されるかどうかについて裁判所が第一次的に判断することがわが憲法下の権力分立の原則に反せず、これが許されるものであると解すべきである以上、行政庁がこの判断に拘束されて未然に行政行為を実行し得ないこととなるのは当然の結果であり、この当然の結果を判決主文に表示する方式として確認(行政行為実施の権限がないこと若しくは不作為義務があることの確認)の形式をとるか不作為の給付の形式をとるかは、いわば、便宜の問題ないしは司法権の行政権に対する用語上の礼譲の問題」、礼儀の礼と謙譲の譲でありますが、「礼譲の問題に過ぎないというべきであるから、原告の訴求するところが不作為の給付の要求であるということだけで、かような訴えがただちに三権分立の原則上許されないとする形式論理は、当裁判所のとらないところである」と判示しております。格調が高く、痛快であります。合議体の白石健三、浜秀和、町田顕というビッグネームが輝いております。
ここでこの判決は被告のことは直接触れておりませんが、行政庁を被告とする無名抗告訴訟と解しながら、本来、国を被告とすべき確認訴訟でもよいのだとし、これらを詮索することは形式論理だと喝破しているのであります。
このような判決があるにもかかわらず、その後の判例は概して厳密化、細部化路線をたどり、例えば有名な横川川事件では、昭和六十三年に高松高裁が河川法の制約に服さないという確認訴訟を一般論として認めたものの、被告が国ではなく行政庁となっているから駄目だという形式論に結局は堕してしまい、その上告審である平成元年の最高裁はそのことを検討すらもしておりません。
今次の改正が四条で確認訴訟の規定を明確にし、十一条で被告を難しい行政庁という概念から国又は公共団体に改正することは、このような現状の判例の状況からいたしますと、実に大きな意義を有します。しかし、裁判所が今述べた昭和三十八年の白石、浜、町田コートのような柔軟な解釈を継続してさえいれば、今のように後れた状況には陥ってなかったと思うのであります。昭和四十年代半ばからしばらくの裁判所の行政関係事件の冷凍状態の原因が現代的な視点、学問的な視点で必要と、冷凍状態の原因の検証が現代的な視点、学問的な視点で必要と思うこのごろであります。
いま一つ事例を挙げたいと思います。
今次改正による当事者訴訟の具体化により、行政分野における確認訴訟などが活性化します。確認訴訟は実務的には次のように発想されると考えます。
例えば行政計画や公共事業の分野では、まず一つは、行政処分その他の公権力の行使に当たる行為に分類できるものはなるべく三条二項の処分に構成して取消し訴訟、そして改正法三条六項に構成して義務付けの訴え、同じく三条七項に構成して差止めの訴えの対象にし、執行停止はやはり改正法三十七条の五の仮の義務付け、仮の差止めを申し立てると弁護士としては思います。次に二つ目は、それらに当たらない行政立法や行政計画については、それらがないことを前提にした権利関係の確認や義務のないことの確認訴訟又は民事の差止め訴訟を起こし、場合によっては仮処分を申し立てます。
しかしながら、これまでの裁判所の冷凍的な解釈に懲りてきた実務弁護士は、このように考えながらも、裁判所がそのような行政立法や行政計画は公権力の行使に当たると解釈することもあり得るのではないかと恐れて、先ほど整理した二つの道筋を同時に提起するようになるのではないでしょうか。今次改正で被告が改正され難しい行政庁概念が事実上廃止されますから、どの選択も被告は同じになります。同時に提起されれば、裁判所はどちらかで判断せざるを得ません。すべてを却下することは改正法施行後は許されません。心配性弁護士がこのように工夫いたしまして裁判所の解釈を促せば、数年のうちに判例は蓄積され、改正法下での行政分野の民事訴訟、仮処分の射程距離なども定まってくると思われます。
このように実務派弁護士を過度の心配性にしてきた頂点に昭和五十六年十二月十六日の大阪空港事件の最高裁大法廷判決が位置すると私は思います。住民が公共工事を行政訴訟として争いますと、原告適格を前提にしても、裁判所は行政行為を伴わない公共工事は抗告訴訟の対象に当たらないと言うことが多うございます。それなら民事訴訟で争うことができると裏から論じていることになるのですが、この大阪空港訴訟大法廷判決はこの当然の論理さえも許容しなかったのです。
大阪空港訴訟判決のこの部分は、要約すれば、空港という営造物の管理権は非権力的な機能で私法的規制に親しむものであることを認めつつ、航空行政全般にわたる政策的判断を不可欠とする国営空港の特質から事を論じております。すなわち、大阪空港の供用が運輸大臣の有する公権力の行使をその本質的内容としない空港管理権と、公権力の行使を本質的内容とする航空行政権という二重の権限総合的判断に基づいた不可分一体的な行使の結果であるとして、住民は、行政訴訟の方法により何らかの請求をすることができるかどうかはともかくとして、民事訴訟の差止めはできないというのであります。論理も理論も捨てて当該住民の差止め請求を却下するという結論だけが先行しておりました。
この判決の影響は巨大なものでありました。比較的近時の判例でも道路工事の差止めの仮処分を否定している平成四年の広島高裁の判断がございますが、売買契約や道路工事には公権力性はないものと事実上判断しつつ、これらは先行する道路区域決定や区域変更と不可分一体であるから、売買契約や道路工事を仮処分で止めれば事実上行政権の作用が阻止され、その結果、先行の公権力性を有する行政処分の効力を無に帰することになるから仮処分は許されないというのです。その判断手法が大阪空港訴訟判決に大きな影響を受けていることは明らかです。
もちろん、この大法廷判決の影響力を断ち切っている優れた判決も存在することは、存在することはございます。
今次改正で九条二項が付け加わり、原告適格の解釈基準が緩和されることにより、大阪空港事件のような場合は、後述の新潟空港事件に倣って乗り入れ許可の取消し訴訟、無効確認訴訟などを構えるか、法律関係に置き換えて、改正法四条の当事者訴訟でいくことになるでしょう。改正法により冷凍判決の影響が徐々に解凍されることを期待しております。
もちろん、四十年代半ばから約三十年程度続いた全体としての冷凍状態の下でも、個々の裁判では考え抜かれた判決や決定をしている例も多く存在いたします。私が担当し、行政法の教科書にも載せられている判例を二つほど取り上げ、今次改正法との関連を考察してみたいと存じます。
一つは、義務付け訴訟の解釈基準につながるケースであります。
要綱による給付行政と不作為の違法確認のケースである大阪高裁昭和五十四年七月三十日判決は、自治体が抽象的な法律を具体化する条例を定めずに要綱で実施していた給付行政につき、一審は、その申請は行政事件訴訟法三条五項の法令に基づく申請に当たらないと冷凍的解釈で却下したのに対し、大阪高裁は、行訴法三条五項にいわゆる法令に基づく申請とされるためには、その申請権が法令の明文によって規定されている場合だけではなく、法令の解釈上、該申請につき、申請をした者が行政庁から何らかの応答を受け得る利益を法律上保障されている場合をも含むと解すべきであり、本件のように、その支給・不支給の決定権限を自らが有するとなす被控訴人が、その給付手続について定めた本件要綱に申請制度を採用している場合においては、右支給・不支給の決定をただの私法上の契約の申込みに対する承諾のたぐいと見るか行政処分としての決定ととらえるかは、単にその規定の仕方が規則、形式にのっとっているかどうかだけで決することはできず、右申請制度を含めた本件給付制度の総体について、その制度の趣旨、目的を探り、そこから該申請に対し被申請人が行政庁として応答をすべきことが一般法理論上義務付けられていると認められる場合においては、本件申請制度は行訴法三条五項による法令に基づく申請となり、これに対する被控訴人の応答、支給・不支給の決定はおのずと処分性を具備するものと解するのが相当であると救済いたしました。今次改正法の九条二項を先取りしているような言い回しであります。
また、この判例は、補助金交付の拒否決定に行政処分性を柔軟に認めており、今次改正法の三条六項二号、三十七条の三の要件解釈につながるものであります。この高裁のような柔軟な解釈がない限り、今次の改正がなされても義務付け訴訟の積極的効果は十分に発揮されないことは容易に想像できるところであります。
もう一つのケースは、執行停止や仮の義務付けにつながる大阪高裁平成元年八月十日決定であります。
このケースは、児童福祉法に基づき半年ごとに反復更新して入所決定をしていたA保育所から、ある期限到来時に行政の都合でB保育所に変更決定されたとき、B保育所への変更決定を執行停止する利益があるかどうかが論点でした。地裁の決定は、新たな決定の執行を停止してみても単に当該入所決定がなされた状態を回復するにすぎず、それ以上に申立人らの希望する保育所を入所先とする入所決定がなされたと同一の状態を形成するものではないから、処分により生ずる回復困難な損害を避けるための有効な手段となり得ないことは明らかであると冷凍的解釈を披瀝いたしました。
これに対し、大阪高裁は、相手方らのする法二十四条、児童福祉法二十四条による保育所入所措置は六か月の期限付でなされているが、期限の到来した時点でなお保育所入所措置を継続すべき児童については期限の更新がなされることが予定していたものと解すべきで、相手方らは、本件各児童につき保育所の入所措置要件が存続していることを承認して保育所入所措置を継続するとともに、入所措置する保育所をそれまでの保育所とは別の保育所とするとの本件各処分をしたのであるが、本件各処分の効力が停止されれば、本件各処分に先行する保育所入所措置についての抗告人らの更新申請に対する相手方らによる処分がいまだなされていない状態に復帰し、相手方らは右保育所入所措置に付された措置期間の満了後も本件児童を当初保育所で引き続き保育しなければならないというほかないとしました。
この大阪高裁のような態度であれば、今次改正法の三条六項二号、三十七条の三の義務付け訴訟はあるいは必ずしも必要なく、執行停止の対世効、拘束力により妥当な解決が図られるわけですが、冷凍的解釈を前提とすれば、これらの改正は必要であります。そして、義務付けに加えて、改正法三十七条の五の一項の仮の義務付けを活用し、この新制度を効果あるものとするためには、要件である「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要」という条項の柔軟な解釈が必要でありますが、この大阪高裁決定は既にその水準に達しておりました。
平成に入ってからは最高裁判例に変化が見られ、今次改正の九条二項の解釈基準の基となるような積極的な判決、例えば平成元年の新潟―小松―ソウル間の定期航空運送事業免許取消し事件、いわゆる新潟空港事件判決、また平成四年の原子炉設置許可処分無効確認事件、いわゆる「もんじゅ」判決などが出ておりますが、下級審も含めて全体としての冷凍解釈はそう簡単には克服されておりません。その点で、今次改正への国民的期待は大きいものがあると存じます。
さて、最後になりましたが、ここまでは私は判例を見てまいりましたが、その冷凍的解釈を打ち破れなかった点では、訴訟を提起する弁護士の側にも努力不足があったことは間違いありません。
ここで弁護士会、弁護士側の決意も表明させていただきたいと思うのでございます。
一つには、日弁連は担当委員会で大いに勉強いたしまして、去年三月十三日に抜本的な行政訴訟法案を発表いたしました。これは是正訴訟法案とも略称されまして、学会などでも話題になっております。このピンクの貴重な資料集の百三十三ページにございます東大の交告教授、百五十四ページにあります神戸大学の米丸教授などがこの日弁連案を高く評価しておられるわけでありますが、また検討会でも御意見をいただき、今次改正法案を後押ししたものと確信しております。
二つは、法科大学院での公法、行政法実務教育であります。
新司法試験での公法という形での行政法の復権を視野に置いて、各法科大学院で行政法実務教育が実施されるわけであります。昨年、法科大学院協会カリキュラム検討委員会公法系実務教育ワーキング・グループが立ち上げられまして、最高裁、法務省、日弁連、大学研究者の十人で、今年一月三十日に「法科大学院における公法系実務教育のあり方について」の中間報告を発表いたしました。私もその一員でございますが、このグループは、現在、中間報告を最終報告にする努力と、この報告に盛られました実務のシラバスを肉付けして、全国の法科大学院実務教育のための教材を作りつつございます。司法研修所で蓄積されました民事、刑事に並ぶ公法系の教材がもうすぐでき上がる予定です。この教材作りは、法曹三者、学者が執筆分担ではなく、共同討論、共同執筆する予定であり、実務感覚に富む成果が生まれるものと確信しております。法科大学院というかなりの人々が弁護士に育つ教育機関で、今次改正法を踏まえた公法実務をしっかり教えていきたいと考えるものであります。
三つは、日弁連の取組であります。
第一に、既存の弁護士への改正法と行政訴訟実務の全国的研修。第二に、各地の行政問題への支援組織作り、これは行政側、住民側を問いません。第三に、実務的学会創立を目指した研究会などを既に開始したり検討したりしております。
以上、本改正法をてこにし、国民的立場で、グローバルスタンダードに近づく判例の変更への期待、法曹養成での公法実務教育と弁護士の能力開発の決意、そして残された多くの課題への国会に対するお願いを申し述べまして、私の意見を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○委員長(山本保君) どうもありがとうございました。
次に、菊池参考人にお願いいたします。菊池参考人。
○ 参考人(菊池信男君) 菊池でございます。
途中省略
○委員長(山本保君) ありがとうございました。
以上で参考人の意見陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○ 岩井國臣君 自由民主党の岩井國臣でございます。
途中省略
○岩井國臣君 先ほど斎藤参考人は、今回の法改正、必ずしも十分じゃないけれども、改正せぬよりもした方がいいんだろうし、これをてこにして、今、園部参考人言われましたように、前向きの積極的な判例を増やしていくというところに意欲を持っておられるんじゃないかと思います。
私もそういうことは極めて大事なことだと思いますが、最後に、斎藤参考人にお聞きしたいのは、司法によらない行政紛争の処理についてでございます。
いろいろと考えなければならないのではないかと思います。アメリカ型の行政委員会、イギリス型の行政裁判所の設置、行政不服審査機能の充実あるいは公的オンブズマンの設置など、いろいろあると思うんでございますけれども、行政改革会議の最終報告書にも行政審判庁構想なるものが今後の検討課題として出されたと思いますが、何からどういうふうに手を着けていけばいいのか、斎藤参考人のお考えをお聞きしたいと思います。
○参考人(斎藤浩君) 今回の改正を私は高く評価をしておりまして、ないよりはある方がいいというような改正ではなくて、大変高く評価しております。
しかも、私は、与党の先生方とは継続的な研究会をいたしまして、林芳正会長を会長とする通称国民の会というところでの意見書の作成にも関与し、また、公明党の議員団との継続的な勉強会もさせていただき、民主党の先生方との懇談もさせていただいた上で、検討会で、検討会が行われておりますときは日弁連の抜本的要求と違うじゃないかということをるる言うわけでありますが、できたものは大したものでございまして、今の状況下では大いに私は評価すべきものと考えております。
今の最後の御質問では、いろいろ私の見解はございますが、司法制度改革審議会の意見書も、専門的な法曹の開発といいますか、それと司法によらない諸機関の工夫なども言われておりまして、私も、そういうところへの研究も是非これから、我々もいたしますが、国会におかれましても是非やっていただいたら大変有り難いというふうに思っております。
○岩井國臣君 終わります。
○ 角田義一君 民主党・新緑の角田義一でございます。
途中省略
○角田義一君 斎藤参考人にお尋ねいたしますが、今回の行政事件訴訟法はなかなかよくできておるということでございますですね、高く評価されているんでしょうが、原告適格の言わば枠を広げて、最高裁の判例で積み上げてきた四つの要件といいましょうか、そういうのをこの委員会でいろいろ説明を受けても、私ども素人は頭が痛くなるばっかりなんです。御専門の先生方はこの四つができてよかったと、ああすばらしいというふうにお考えのようですけれども、我々、素人なんと言っちゃ申し訳ないけれども、聞けば聞くほど分からなくなっちゃう。
そうすると、いろいろ訴訟の類型が大変増えて、それはそれで救済の道は開かれると思うんですが、先ほど参考人がおっしゃった、日弁連が言っております是正訴訟というのは一体どういう位置付けになるのか、この改正等の関連においてどういうふうにこれをもっと発展をさせていきたいというふうにお考えになっておるのか、そこをちょっとお聞きしたいと思います。
それからもう一つ、集団訴訟のような問題は今度全然触れられていないわけですが、これも今の御時世から見ると私は大事な訴訟の形態ではないかというふうに思っておるんですが、この二つについてお述べいただければ有り難いと思います。
○参考人(斎藤浩君) 日弁連の是正訴訟案は、国民がこの難しい行政訴訟を扱うときに、いろんな理屈を乗り越えて、憲法で保障する裁判を受ける権利というものが保障されるためにはどのようにしたらいいかということで発想をしております。
先ほどから論議になっておりますこの原告適格だとか処分性で却下されるという問題は、入口に入らずに却下してしまうわけですから、裁判を受ける権利の問題が非常に浮上してまいります。我々は何でもかんでも救済すればいいんだという立場ではなくて、まず土俵に上げて、裁判を受ける権利を十分に受けたなという、国民が納得できる体制にすべきであるというふうに考えるものであります。
その点で、是正訴訟と名付けましたのは、今までの取消し訴訟中心主義というものをやめまして、こういうことが違法であるから裁判所、救済してほしいということをともかく国民が形にいたしますれば、それを取り上げて中身に入るというための装置でございまして、我々の法案の七条で是正訴訟というのを次のように定義しております。
「この法律において是正訴訟とは、行政決定の違法の確認を求める訴訟及びその是正のための作為又は不作為を求める訴訟」というふうに非常に広く定義しておりまして、今回のいろんな訴訟の類型が増えました点も含めまして、すべて是正してほしいんだということを国民が言えば土俵に乗ると、こういう発想法で貫きまして、かなり百数十条の条文を作ったわけでありますが、そのような発想でございます。
それから、第二番目の集団訴訟といいますか、団体への原告適格の問題でありますが、ここの問題が今回見送られましたことが非常に大きな残念な点でございまして、環境団体その他非常にまじめにその問題を研究し実行しているような団体には、仮にその人個人を取ってみれば主観的な利益はないとしても、その団体からすれば、例えば遺跡だとか森を守るべきだとか、野鳥を絶滅させるべきでないというような、いろんな外国で工夫されているようなものを求めるためには、団体訴訟というものをどこかで、この行政事件訴訟法の中に書くか、それとも今各法律で検討されておりますような各法律の中に、限定的に解釈するかはともかく、そういうものを日本の法制度の中に取り入れるべきであるというふうには思っておりまして、日弁連の案にもそれは入れさせていただいております。
○ 角田義一君 もう一点、斎藤参考人にお尋ねしますけれども、今回の改正の中で、釈明処分の特則という新しい条項ができているんですが、裁判所の訴訟指揮によってこれは実効あらしめなきゃならぬということなんで、別にペナルティーはないわけですね。そうすると、今までのあなたの長い行政裁判の経験の中で、一体、行政庁というか、お役所は意識は変わりますかね、これによって。相変わらず頑迷固陋に出したがらないんじゃないんですか。その辺はどういうふうに感じておられます。
○参考人(斎藤浩君) 私、先ほど意見を申し上げたのは、主としての裁判所のこの三十年、平成以前の三十年ぐらいの問題点を申し上げましたが、その中でも大いに工夫された裁判例もあって、尊敬すべき裁判官はたくさんおられるということをまず述べたつもりでございます。そういう点で申し上げますと、私は裁判所を信頼しておるものでございます。個々の問題ある判決については厳しく批判をいたしますが、基本的な裁判官というもの、法曹の中の裁判官という職種の方々を高く尊敬あるいは信頼している立場でございまして、問題は、最高裁判所の発信機能にあったのではないかと。ですから、なかなか、最高裁が柔軟にお変わりになっても、今まで柔軟でないものに付いてこられていたこの下級審の裁判官の方々がすぐに変わるということはないだろうということを先ほど申し上げたわけでありますが。
それと同じように、今回は、国会におきましてこの改正法が通りますれば、日弁連は法案になる過程ではいろいろなことを申し上げましたが、私は大きな発信機能、国会から裁判所のまじめな裁判官に対する発信機能は大きいものだと考えるわけです。そういたしますと、九条の問題、あるいは釈明処分の今先生のお尋ねの問題も、重箱の隅をつつけば、こんなものができても、そう解釈しなければしようがないじゃないかということを常に学者の一部でおっしゃる方がございますが、私はそれは違うので、こういう大きな発信が、国会を、それをお作りになった推進本部の努力を多として、国会で発信機能がまじめな裁判官、全国の裁判官に発信されれば、私は、それを受け止めて国民のために頑張る裁判官がたくさんおられるだろうというふうに考えまして、釈明処分について、詳しくは申し上げませんけれども、大きく私は期待をしております。
途中省略
○木庭健太郎君 三人の参考人の皆様、専門的なきちんとした御意見を当委員会にいただきまして、心から感謝を申し上げます。
それぞれお三人の方にお聞きをしたい点がございます。
途中省略
○木庭健太郎君 斎藤参考人にお伺いいたします。
これまでもいろんな実例挙げながらこの問題、我が党も、公明党でございますが、いろいろお世話になってやってまいりましたが、私どもも実は団体訴訟の問題含めて今回の問題考えながら、かなりいろんな部分で大前進をしたとは思っているものの、課題も幾つか我々も残っているという認識はございます。
斎藤参考人にお聞きしておきたいのは、今後検討すべき課題、幾つも事例を挙げていただきました。その中で、日弁連も含めてですが、今回の改正は改正として、これで判例が確立されたりいろんなことの動きになっていくでしょうが、いろんな諸課題のうち、まずこの法律が通った後、次へ取り組むべき課題、最優先課題は何とお考えになっていらっしゃるのかとお聞きをしたいし、また今、園部参考人からもありましたが、やはりこう法改正になっていくと、今度は弁護士さんの側が行政訴訟を担当するという人たちをどう増やすかというような問題もあると思いますが、その辺の御自身の課題も含めて御発言をいただいておければと思います。
○参考人(斎藤浩君) 司法制度改革審議会意見書が書いております、こういうところを改善しなければならないんじゃないかという点のうちの委員御質問の中で、なかなか優劣というのも難しいわけですけれども、それでも申し上げますとすれば、行政立法、行政計画というものについての争い方、先ほど私はいろいろと工夫をして活性化するということの確信を申し上げたわけでありますが、それはこの改正法のレベルで頑張ろうということの意思表明でありますが、それを直接争える方法を行政事件訴訟法の中か、又は単行法の実体法の中に早く取り入れていただくと。仄聞いたしますと、二つほどの省庁でそういう検討も、そういう検討の機関も加えられて検討が始まっているというふうにもお聞きしますが、それを早く作っていただく。
その行政計画、行政立法につきましては、先生も御案内のように、行政手続法という非常に大きな法律の、非常に大事な法律を平成五年でしたか作っていただいた、その中にもその二つが抜けておりまして、行政手続法の中での行政計画、行政立法の扱い、そして訴訟としての行政立法、行政計画の扱いを早く道筋を付けていただくことが非常に大事になろうと思います。それから、先ほどから御質問のある団体訴訟のところを是非工夫を早くしていただくということ。
私は、先ほどの専門裁判所の問題につきましては若干の意見は持っておりますが、例えばヨーロッパばかりでなく、お隣の韓国などでも、訳文はどうか分かりませんが、行政不服審判所のような大きな組織ができておりまして、行政裁判所、要するに訴訟における解決と、そういう不服審査手続の総合庁みたいなところでの解決とで競い合って国民の救済に当たっているという報告を日弁連でも受けたことが、学者から、ございますし、今度実情調査に韓国に行こうかと言っているほどでございまして、そういう、何も裁判所でなくても、先ほど前の議員の御質問にもございましたが、別な工夫の審判手続の中でも国民の権利が回復されればいいわけでございますので、その辺りのことも含めて喫緊の課題ではなかろうかというふうに思っております。
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○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
三人の参考人の方、本当にありがとうございます。
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○井上哲士君 次に、斎藤参考人にお聞きをいたします。
今のことにも関連をするんですが、過去に受刑者の丸刈り判決などなど、様々な柔軟な解釈をした判決がありながら、これが大きく広がっていかなかったことが指摘もされました。そして、今の大阪空港事件の判決もあったわけですが、一方で、この間、最高裁でもそうですし地裁レベルでも、行政事件についてかなり住民の立場での特徴的な判決も見受けられるようになってきた部分があるかと思うんですが、この辺の、なぜ過去にこうした柔軟なのが広がらなかったのか、そして最近の新たな動きの背景といいましょうか、原因といいましょうか、その辺はどのようにお感じでしょうか。
○参考人(斎藤浩君) 私の考えは先ほどから述べましたが、昭和四十年代の半ばにやはり裁判所をめぐる不幸があったというふうに考えております。
いわゆる司法問題と言われたわけでありますが、それ以後の最高裁、その指導下にある下級審の裁判官の方々に非常に苦労があったと考えておりまして、それは、今までは弁護士といいますと司法問題族のようなところがずっと批判的に分析して、運動的に分析しておったわけでありますが、私は、もしできますればと思っておりますのは、公法学会にも所属しておりますので、そこで公開論文も募集されておりますので、書きたいなと心に思っておりますのは、理論的な観点から、昭和四十年代の半ばから約三十年間ぐらいはどういうことがあったのであろうかということ、園部元裁判官が今おっしゃったような中でのいろんな検討の真髄に迫って、運動的なところだけではなくて理論的なところからそれを迫りたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、昭和四十年代の半ばから二十五年、三十年近くはその不幸の中の呪縛の中で裁判所はお動きになったのではなかろうかというふうに思っております。
それが、最近、親しい裁判官とお話をさせていただく中で、やはり、例えば今回の新法ができ、改正法ができたときに、四十年代後半型の、私の言葉でありますが、統制的な解釈を下級裁判官に御指導なさるようなやり方ではなくて、今のやり方は非常にフランクに自由に最高裁の勉強会だとか検討会だとか協議会だとかが行われているやに聞いております。そういう時代になったことを私は心から喜びますとともに、その延長線上でこの改正法が大いに活用されて、私が先ほど確信を申し述べましたように、心ある裁判官ばかりでありますから、その方々の心にこの改正法がちゃんと届きますれば私は大きな成果が上がるものだと考えております。
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○井上哲士君 次に、園部参考人と斎藤参考人に同じ質問をいたしますけれども。
斎藤参考人、最後にグローバルスタンダードという言い方をされましたけれども、今回の法改正でそういうグローバルスタンダードということから見たときに、どの程度までの前進をしたという評価をされていて、かつそういうグローバルスタンダードから見れば更に検討すべき問題幾つもありますけれども、とりわけ優先的にされる問題は何とお考えか、それぞれからお願いをいたします。
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○参考人(斎藤浩君) 私が申し上げたのは、検討会の御努力で、資料で訴訟要件を広く認めるべきかどうかについての判例が十四個ほど選ばれて、日本、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリスでは、その同じものがアメリカ、フランス、ドイツ、イギリスで起こされたときには、日本で却下されているものが他の国ではどのように扱われるであろうかという非常に初期の検討会の中でいい資料が出ておりまして、それらを私ども持って帰りましてマル、ペケを付けましたところ、ほとんど日本はバツなんでありますが、大概は、今挙げた十四個の事例を外国でありますと大抵マルになっておりました。
その日本でバツのうちのどれが救えるかというふうに私がこの衆議院の議論そして参議院の議論を拝聴、拝読しておりまして思いますのは、山崎事務局長がおっしゃるのを聞いておりましても、誤解かもしれませんが、例えば近鉄特急料金については、塩野座長は衆議院で、これは救わなきゃいけないというふうにおっしゃったと思いますが、山崎さんはちょっと分かりませんが、その他環境の問題のいろんな法律が新しくできているのを加味すれば原告適格が広がるというふうに山崎事務局長も随分おっしゃっていました。
そういう点で、十四個のこの却下事例の中で私はかなりの、却下事例じゃないですね、十四個の事例の中で却下されたものの中のかなりのものは今回の法律案で確認訴訟の形をかみ合わせますればやれていくのではなかろうかというふうに思います。
そういう点で、グローバルスタンダードというのは裁判を受ける権利をちゃんと保障するということでありまして、何も住民の側の、国民の側の訴えを全部認めるということを申し上げているのではないので、裁判を受けたいという国民にはちゃんと裁判を受けていただいて、それを合理的になるほどという判断を裁判官が自信を持ってやられるという、こういうことを私はグローバルスタンダードと考えております。
○井上哲士君 ありがとうございました。
○委員長(山本保君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
本日は、大変お忙しいところ貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。当委員会を代表して厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
午後零時一分休憩